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2020年1月の記事一覧

SSH海外研修

今年度の長崎南高校SSH海外研修では、1・2年生の計4名がタイへ訪問しました。中心となった活動は、タイ王国から招待を受けて参加した「タイ・日本学生ICTフェア(TJSIF)」です。12月20日(金)~22日(日)の3日間開催され、日本からは15の高校と11の高専が参加し、多くのタイの高校生と交流しました。会場はタイ東北部(イサーン地方)のムクダハンというラオスとの国境を分けるメコン川沿いの都市で、タイのSSHである「プリンセスチュラポーン科学高校(PCSHS)」のムクダハン校です。

[12月17日(火)]
7:00の高速バスで長崎駅前を出発、9:25に福岡空港に到着し、搭乗手続、保安検査、出国審査を経て、11:40発のタイ国際航空での約5時間半の空旅の後、現地時刻(日本からー2時間)15:30にバンコクのスワンナプーム空港に到着しました。入国後、現地添乗員の案内でホテルに向かう途中に、体長1mを超えるミズオオトカゲが生息している「ルンピニ公園」に立ち寄りました。バンコク都心の渋滞にはまり、入園が日没後であったため、1匹しか見つけることができませんでしたが、翌日以降の「熱帯」について学ぶ研修に向けて期待が高まる体験となりました。

[12月18日(水)]
本日のテーマは、タイの植物について学ぶことです。ホテルを6:50に出発し、「バーマインチャレーン」に向かいました。このバンコク近郊の海岸沿いにはマングローブが生い茂り、カニクイザルも潜んでいます。エンジンボートに乗ってマングローブを目の前で観察しながら、その生態や重要性、伐採による環境破壊などについて学び、最後にマングローブ林の再生・保安のために、4名全員で1本ずつ植樹をしました。午後はバンコク都心の「ワットポースクール」でハーバルボール実習です。ハーバルボールとは、タイの伝統的自然療法で使われるもので、レモングラスなど数種類のハーブを刻んだり、潰したりしたものを、布でくるみ、使うときには温めて、肌に押し当てます。講師からそれぞれのハーブの効能について具体的に教わりながら作る体験ができました。植物の持つ力について多くを発見した1日でした。

[12月19日(木)]
6:00にホテルを出発し、ドンムアン空港へ向かいました。そこで本校の今回のパートナー校であるPCSHSチャンライ校の2名の先生と交流し、同じ8:30発の便に乗りました。9:50にナコンパノム空港へ到着し、まずは地元の「ワットプラタートパノム」という寺院を見学しました。中央に高さ52mのラオス様式の美しい仏塔がそびえ立ち、荘厳な雰囲気でした。次に、近くのベトナム料理レストランで昼食をとり、その後、ムクダハンへ向かいました。途中に「ケーンカバオ」で休憩しましたが、ここはメコン川沿いの公園で、対岸はラオスです。国境が目の前にあり、間近に別の国が見え、不思議な感覚にとらわれました。また、川を見守る蛇神ナーガの巨大な像も印象的でした。15:20にはTJSIFの会場であるPCSHSムクダハン校に到着し、同校の生徒達の大歓迎を受けました。この日からの4泊は、この学校の学生寮での宿泊となります。まずは、発表へ向けての準備をし、その後、早速、交流を深めました。

[12月20日(金)]
TJSIFは本日から3日間の開催です。初日は10:00から開会式、11:00から佐世保高専の入江准教授(電子制御工学)による基調講演と続き、13:00からは、全参加生徒が体育館に集まり、ICTに関わるサイエンスプロジェクトのポスタープレゼンテーションが実施されました。本校からは“Developing a Simple vegetable factory” と “Developing an Instrument for Observing Veins Using Near-Infrared Light” の2つを英語で発表しました。2名ずつに分かれ、聞きに来た多くのタイ人高校生に向けて、一生懸命説明し、うまく通じたり、興味を示してくれたりしたときには嬉しそうにしていました。18:30からの歓迎会では、タイの音楽や舞踊などの伝統文化を満喫しました。

[12月21日(土)]
TJSIF2日目は、タイ人准教授(コンピュータ工学)による基調講演から始まりました。9:30からはパワーポイントを使ってのサイエンスプロジェクトの発表です。本校生徒の出番は午後の後半になっていたので、それまでは他の発表を視聴しました。15:40からいよいよ本校生徒の登場です。今回の海外研修でのメインイベントかつハイライトとして、約30名を前に緊張と不安が入り混じる中で、自分達がこれまで取り組んできた課題研究について英語で堂々と発表しました。事前の準備や練習の成果をしっかりと発揮することができましたが、最前列の大学の先生方との質疑応答には悪戦苦闘していました。

〔12月23日(日)〕
TJSIF最終日は、フィールドトリップ5コースが設定され、本校4名は「王立養蚕研究所」を訪問しました。タイの伝統である絹織物産業(タイシルク)を支える施設で、カイコの飼育を見学したり、製糸工程を体験したりしました。午後にはPCSHSMに戻り、6班に分かれ、フィールドトリップで学んだことをもとに、ICT活用について発表するための準備に英語で意見交換をしながら取り組みました。和装をまとって参加した送別会では、タイの高校生による伝統舞踊などが次々と披露され、初日の歓迎会以上の盛り上がりを見せました。この4日間の滞在を通して、タイ人高校生と交流しながら、科学英語を海外で発信するという貴重な体験をすることができました。

 

〔12月24日(月)〕
いよいよタイでの最後の1日です。6:30という朝早い出発にもかかわらず、4日間を一緒に過ごしたタイ人高校生達から見送りを受け、名残惜しい気持ちで空港に向かいました。11:30にはドンムアン空港に到着し、昼食後、バンコク近郊の「シラチャタイガーズー」を訪れました。ここでは、トラ、ゾウ、ワニなどの熱帯動物に直接触れたりしながら、その生態や行動を観察し、学ぶことができました。夜にはスワンナプーム空港へ向かい、多くの研修成果と思い出を胸に、深夜便でバンコクを飛び立ちました。

 

2年3組八幡紗矢さんの課題研究がサイエンスキャッスルシンガポール大会で世界各国の発表の中からトップ5に入りました!!

11月1日・2日Nanyang Technological Universityで開催されたサイエンスキャッスル・シンガポール大会に2年3組の八幡紗矢さんが出場しました。八幡さんは「組織培養の研究(植物のクローンを作る研究)」を行い、事前の英語論文審査を経て、「口頭ステージ発表部門」のファイナリストにノミネートされていました。口頭発表審査の結果、世界各国の発表の中からトップ5に選ばれました。審査員からは『今回の発表、素晴らしかったと思います。特に、安価な手法を開発したところに関して、審査員の中でも注目を浴びていました。審査室で貴校のプロジェクトは、トップ5に入っていました。
今回のように種の保全にふれる研究の場合、
1)研究の社会的な位置づけ
2)将来的には結果をどのように役立てることで種の保全に繋げられるのかについてコメントできると良いと思いました。すでに開発した手法を東南アジアの他の中高生研究者に共有できるウェブサイトまたはコミュニティーサイトを作って意見交換をするのも面白いかもしれません。また来年も出場できるように頑張ってください。』との講評をいただきました。

大会は「アジアで開催される最大級の中高生のための学会」で、未来を担う研究者の登竜門として、研究発表を競うだけでなく、世界的な諸課題への解決策を提案するワークショップも行われました。大会後、八幡さんは「自分たちの研究を世界に発信していくには英語の力も必要だということが発表経験を通してわかりました。次の活動に向けて頑張ります。」と大会を振り返っていました。